法務部がない会社の契約管理術
大企業には法務部があり、契約書のチェックや管理を専門チームが担当しています。しかし、中小企業の多くには法務部がありません。社長や営業担当者が、本業の傍らで契約書の作成・確認・管理を行っているのが実情です。
本記事では、法務部がない会社でも実践できる契約管理術と、電子契約を活用した効率化の方法を解説します。
法務部がない会社の契約業務の実態
誰が契約書を確認しているか
中小企業では、契約書の確認は以下のような体制で行われていることが多いです。社長が自らすべての契約書を確認する、営業担当者が自分の案件の契約書を作成・確認する、経理担当者が支払い条件だけ確認する、あるいは顧問税理士や外部の弁護士に相談する、といったケースがあります。いずれにしても、契約書の専門家がいないため、見落としやミスのリスクがあります。
よくある課題
契約書の内容を十分に確認できない
本業が忙しく、契約書を隅々まで読む時間がありません。「相手が出してきた契約書だから大丈夫だろう」と、内容を十分に確認せずに署名してしまうこともあります。
契約書のひな形がない
自社で契約書を作成する必要があるとき、ひな形がないためにインターネットで検索したテンプレートをそのまま使っていませんか。自社のビジネスに合った内容になっているか、法的に問題がないか、不安が残ります。
契約書の保管場所がバラバラ
営業担当者がそれぞれの机に契約書を保管していたり、社長の机の引き出しに重要な契約書が眠っていたり。いざというとき、目的の契約書を探すのに時間がかかります。
契約更新の管理ができていない
契約の更新期限を把握できておらず、気づいたら自動更新されていた、ということもあります。更新のタイミングで条件を見直す機会を逃してしまいます。
電子契約で実現できる契約管理
1. 契約書の一元管理
電子契約サービスを使えば、すべての契約書がクラウド上の一カ所に保存されます。担当者が誰であっても、同じ場所で契約書を管理できます。「あの契約書、どこにある?」という質問がなくなり、必要な契約書を検索ですぐに見つけられます。
2. テンプレート機能の活用
よく使う契約書のひな形をテンプレートとして登録しておけます。業務委託契約書、秘密保持契約書、売買基本契約書など、自社でよく使う契約書のテンプレートを用意しておきましょう。新しい契約を作成するとき、テンプレートを選んで必要な項目を入力するだけで完成します。
3. 契約期限のアラート
電子契約サービスには、契約の終了日や更新日が近づくとメールで通知してくれる機能があります。カレンダーに手動で登録する必要がなく、システムが自動でリマインドしてくれます。更新期限の見落としを防げます。
4. 承認フローの設定
契約書を送信する前に、社長や上長の承認を必須にする設定ができます。「営業担当者が勝手に不利な条件で契約してしまった」というリスクを防げます。シンプルな承認フローでも、ガバナンスが格段に向上します。
法務部がなくても安心な契約管理のコツ
コツ1:契約書のチェックリストを作る
契約書を確認する際のチェックリストを作っておきましょう。契約期間、支払い条件、解除条項、損害賠償の上限、秘密保持義務、競業避止義務など、最低限確認すべき項目をリスト化します。専門知識がなくても、リストに沿って確認すれば見落としを減らせます。
コツ2:自社に有利なテンプレートを用意する
取引先から契約書を提示されるより、自社からテンプレートを提示する方が有利な条件で契約しやすくなります。顧問の弁護士や司法書士に依頼して、自社のビジネスに合ったテンプレートを作成してもらいましょう。一度作れば何度でも使えるので、費用対効果は高いです。
コツ3:相手方提示の契約書は慎重に
取引先から提示された契約書は、相手に有利な内容になっていることが多いです。すぐにサインせず、少なくとも数日は時間をもらって内容を確認しましょう。不明な点や不利に感じる点があれば、遠慮なく質問・交渉することが大切です。
コツ4:重要な契約は専門家に相談
すべての契約を専門家に相談する必要はありませんが、金額が大きい契約、長期間にわたる契約、新規取引先との契約、条件が複雑な契約については、弁護士に相談することをお勧めします。相談料は発生しますが、トラブルを未然に防ぐための保険と考えましょう。
コツ5:契約書の読み方を学ぶ
経営者や担当者が契約書の基本的な読み方を学んでおくことも有効です。書籍やセミナー、オンライン講座などで学ぶ機会は増えています。法務の専門家になる必要はありませんが、「何が書いてあるか」「どこに注意すべきか」がわかるだけで、契約業務の質が向上します。
電子契約サービスの選び方
法務部がない会社向けの選定ポイント
操作がシンプルか
専門知識がなくても直感的に操作できるサービスを選びましょう。複雑な設定や操作が必要なサービスは、忙しい中小企業には向いていません。
テンプレート機能があるか
契約書のテンプレートを登録・管理できる機能は必須です。できれば、業種別のテンプレートがあらかじめ用意されているサービスだと、すぐに使い始められます。
契約管理機能があるか
締結した契約書の一覧表示、検索、期限アラートなど、契約管理に必要な機能が揃っているか確認しましょう。電子署名だけでなく、契約のライフサイクル全体を管理できるサービスが便利です。
サポート体制
法務部がない会社では、操作方法や契約書の扱い方について質問したいことが出てきます。電話やチャットで問い合わせできるサポート体制があると安心です。
まとめ
法務部がなくても、電子契約サービスを活用すれば、効率的かつ安全に契約管理ができます。契約書の一元管理、テンプレート活用、期限アラートなど、電子契約ならではの機能を使いこなすことで、本業に集中しながら契約業務の質も向上させられます。
「法務部がないから契約管理は難しい」と諦めるのではなく、デジタルツールの力を借りて、賢く効率的に契約を管理していきましょう。
