電子契約サービスの無料プランとは
多くの電子契約サービスでは、無料プランが提供されています。無料プランは、電子契約を試してみたい企業や、契約件数が少ない企業にとって、導入のハードルを下げる役割を果たしています。
ただし、無料プランには制限があることがほとんどです。主な制限としては、以下のようなものがあります。
- 月間の送信件数に上限がある(例:月5件まで)
- 利用できるユーザー数に制限がある
- 一部の機能が利用できない
- サポートが限定的
- 保存期間に制限がある場合がある
無料プランを利用する際は、これらの制限が自社の利用目的に合っているかを確認することが重要です。
有料プランで得られる機能
有料プランでは、無料プランの制限が解除されるだけでなく、ビジネスで必要となるさまざまな機能が利用できるようになります。
送信件数の拡大
有料プランでは、月間の送信件数が大幅に増えるか、無制限になります。契約業務を本格的に電子化する場合、送信件数の制限がないことは必須条件です。
高度なワークフロー機能
複数の承認者を設定したり、署名の順序を指定したりするワークフロー機能は、有料プランで提供されることが多いです。社内の決裁フローに合わせた運用が可能になります。
テンプレート機能
よく使う契約書のテンプレートを登録し、繰り返し利用できる機能です。定型的な契約を多く扱う企業では、作業効率が大幅に向上します。
API連携
自社のシステムと電子契約サービスをAPIで連携させる機能です。顧客管理システムや販売管理システムと連携することで、契約業務の自動化が可能になります。
詳細なアクセス権限管理
部署や役職に応じて、契約書の閲覧・編集権限を細かく設定できます。情報セキュリティの観点から重要な機能です。
監査ログの詳細表示
誰がいつ、どのような操作を行ったかの詳細な履歴を確認できます。コンプライアンス対応や、万が一のトラブル時の証拠として役立ちます。
優先サポート
電話やチャットでの問い合わせ対応、専任担当者によるサポートなど、手厚いサポートを受けられます。導入初期や、トラブル発生時に心強い存在です。
無料プランが適しているケース
無料プランは、以下のようなケースに適しています。
電子契約を試してみたい場合
電子契約サービスを初めて使う場合、まずは無料プランで操作感を確かめることをおすすめします。実際に使ってみることで、自社に合っているかどうかを判断できます。
複数のサービスの無料プランを試して比較することで、最適なサービスを選ぶ材料にもなります。
契約件数が非常に少ない場合
月に数件程度しか契約を締結しない場合、無料プランの送信件数制限内で十分に運用できる可能性があります。
ただし、無料プランの制限を超えそうになった場合に、速やかに有料プランに移行できるかどうかも確認しておきましょう。
個人事業主やフリーランス
個人で事業を営んでいる場合、契約件数が限られていることが多く、無料プランで十分な場合があります。また、高度なワークフロー機能や権限管理機能は不要なことが多いでしょう。
社内文書への利用
取引先との契約ではなく、社内文書(同意書、誓約書など)への署名に利用する場合、件数が限られていれば無料プランで対応できることがあります。
有料プランが適しているケース
有料プランは、以下のようなケースに適しています。
契約業務を本格的に電子化する場合
紙の契約書から電子契約に全面的に移行する場合、送信件数の制限がない有料プランが必要です。月に10件以上の契約を締結する企業であれば、有料プランを検討すべきでしょう。
複数人で利用する場合
複数の担当者が電子契約サービスを利用する場合、ユーザー数の制限がない有料プランが適しています。また、権限管理機能を使って、役職に応じたアクセス制御を行うことも重要です。
社内の承認フローに対応させたい場合
契約締結前に上長の承認が必要など、社内の決裁フローに沿った運用をしたい場合は、ワークフロー機能が必要です。この機能は有料プランで提供されることが多いです。
既存システムと連携したい場合
顧客管理システムや販売管理システムと電子契約サービスを連携させたい場合、API連携機能が必要です。この機能は有料プランで提供されるのが一般的です。
セキュリティ・コンプライアンス要件が厳しい場合
業界の規制や社内のセキュリティポリシーにより、詳細な監査ログや厳格なアクセス制御が必要な場合は、有料プランの機能が不可欠です。
確実なサポートが必要な場合
電子契約の導入に不安がある場合や、トラブル時に迅速な対応が必要な場合は、優先サポートを受けられる有料プランがおすすめです。
料金体系の比較
電子契約サービスの有料プランには、いくつかの料金体系があります。自社の利用形態に合った料金体系を選ぶことで、コストを最適化できます。
月額固定制
毎月一定の料金を支払う方式です。送信件数に上限がある場合と、無制限の場合があります。契約件数が多く、毎月安定している企業に向いています。
料金の予測がしやすいというメリットがある一方、利用が少ない月でも同額の料金がかかる点に注意が必要です。
従量課金制
契約書の送信件数に応じて課金される方式です。使った分だけ支払うため、契約件数が月によって変動する企業や、件数が少ない企業に向いています。
件数が増えると料金も増えるため、大量の契約を扱う場合は月額固定制のほうが割安になることがあります。
ユーザー数課金制
利用するユーザー数に応じて課金される方式です。ユーザー数が少なければ費用を抑えられますが、利用者が増えるとコストが膨らむ点に注意が必要です。
組み合わせ型
月額基本料金+送信件数に応じた従量課金、という組み合わせ型の料金体系もあります。基本料金で一定件数まで送信でき、超過分は追加料金がかかるといったプランです。
費用対効果の考え方
電子契約サービスの料金だけを見て判断するのではなく、削減できるコストと比較して費用対効果を検討することが重要です。
削減できるコスト
印紙税:電子契約は印紙税が課税されないため、紙の契約書と比較して大きなコスト削減になります。特に高額契約が多い場合、削減効果は大きくなります。
郵送費:契約書の郵送にかかる費用(封筒、切手、書留料金など)が不要になります。
印刷費:契約書の印刷にかかる紙代、インク代、製本代などが不要になります。
保管費:紙の契約書を保管するためのファイル、キャビネット、倉庫などの費用が削減されます。
人件費:印刷、押印依頼、郵送、ファイリングなどの作業時間が削減され、担当者の人件費を削減できます。
試算の例
例えば、月に50件の契約を締結している企業を考えてみましょう。
現状のコスト(紙の契約書)
- 印紙税:平均2,000円 × 50件 = 100,000円/月
- 郵送費:500円 × 50件 × 2(往復) = 50,000円/月
- 印刷・製本費:100円 × 50件 = 5,000円/月
- 作業時間:30分 × 50件 = 25時間/月 → 人件費換算で約50,000円/月
- 合計:約205,000円/月
電子契約サービスの費用
- 月額料金:30,000〜50,000円/月(サービスによって異なる)
この例では、月額50,000円の有料プランを利用しても、毎月約155,000円のコスト削減が可能です。年間では約186万円の削減になります。
もちろん、契約の金額や件数によって削減効果は変わりますので、自社の状況に応じて試算してみてください。
プラン選びで確認すべきポイント
無料プランか有料プランかを決める際、以下のポイントを確認してください。
現在の契約件数
月間の契約件数を把握し、無料プランの送信件数制限内で収まるかを確認します。将来的な増加も見込んで判断しましょう。
利用するユーザー数
電子契約サービスを利用する担当者の人数を確認します。無料プランではユーザー数に制限があることが多いです。
必要な機能
ワークフロー、テンプレート、API連携、詳細な権限管理など、業務に必要な機能が無料プランで利用できるかを確認します。
サポートの必要性
導入時や運用中にどの程度のサポートが必要かを考えます。電子契約に不慣れな場合は、手厚いサポートを受けられる有料プランがおすすめです。
将来的な拡張性
事業の成長に伴って契約件数が増えた場合、スムーズに有料プランに移行できるかを確認します。無料プランで蓄積したデータがそのまま引き継げるかも重要です。
段階的な移行のすすめ
いきなり有料プランを契約するのではなく、段階的に移行することをおすすめします。
ステップ1:無料トライアルで操作感を確認
まずは無料プランや無料トライアルで、サービスの操作感を確認します。複数のサービスを試して比較することも有効です。
ステップ2:小規模な運用で課題を洗い出す
一部の契約類型や取引先から電子契約を始め、運用上の課題を洗い出します。この段階では無料プランで対応できることが多いです。
ステップ3:本格運用に向けて有料プランに移行
運用が軌道に乗り、契約件数が増えてきたら、有料プランに移行します。必要な機能やサポート体制を考慮してプランを選びましょう。
この段階的なアプローチにより、無駄なコストを抑えながら、自社に最適なプランを見つけることができます。
まとめ
電子契約サービスの無料プランと有料プラン、どちらを選ぶべきかは、自社の状況によって異なります。
無料プランが適しているケース
- 電子契約を試してみたい
- 契約件数が月に数件程度
- 個人事業主やフリーランス
- 高度な機能やサポートは不要
有料プランが適しているケース
- 契約業務を本格的に電子化したい
- 月に10件以上の契約を締結する
- 複数人で利用する
- ワークフローやAPI連携が必要
- セキュリティ・コンプライアンス要件が厳しい
- 確実なサポートが必要
料金だけでなく、削減できるコストと比較して費用対効果を検討することが重要です。印紙税や郵送費、人件費の削減効果を考慮すれば、有料プランを利用しても十分な投資対効果が得られるケースが多いです。
まずは無料プランで試し、自社の運用に合ったサービスを見つけたうえで、必要に応じて有料プランに移行することをおすすめします。

