税理士・会計士に電子契約を説明する方法
「電子契約を導入しようと思ったら、税理士から『紙の方がいい』と言われた」「会計士に電子契約のことを説明したいけど、どう伝えればいいかわからない」——顧問税理士・会計士の理解を得られず、電子契約の導入が進まないケースがあります。
本記事では、税理士・会計士に電子契約を理解してもらい、スムーズに導入を進めるためのポイントを解説します。
なぜ税理士・会計士が電子契約に慎重なのか
理由1:電子帳簿保存法への懸念
電子帳簿保存法に違反すると、青色申告の承認取消しなどのリスクがあります。税理士・会計士は、クライアントがうっかり法律違反をしないよう、慎重になっています。
理由2:税務調査での不安
税務調査で電子データの取り扱いに慣れていない税務署員に当たった場合、説明に時間がかかることを心配しています。紙なら見せるだけで済むところ、電子だと操作説明が必要になることもあります。
理由3:クライアントの管理能力への不安
「きちんと電子データを管理できるか」「バックアップを取っているか」など、クライアントのIT管理能力を心配していることもあります。
理由4:自分自身が不慣れ
正直に言えば、税理士・会計士自身が電子契約に不慣れで、よくわからないから避けている場合もあります。新しいものへの抵抗感は、誰にでもあります。
説明のポイント1:法的根拠を示す
電子署名法の説明
「電子署名法(2001年施行)により、電子署名を付した電子契約は、紙の契約書と同等の法的効力があります」と説明しましょう。法律の根拠があることを示すと、安心感を与えられます。
国税庁のガイドラインを引用
国税庁は、電子帳簿保存法に関するQ&Aやガイドラインを公開しています。「国税庁も認めている」という事実は、税理士・会計士にとって説得力があります。
判例・実務の積み重ね
「大企業から中小企業まで、すでに多くの企業が電子契約を利用しており、税務調査でも問題なく認められています」と伝えましょう。
説明のポイント2:電子帳簿保存法への対応
2024年1月からの義務化
「2024年1月から、電子取引のデータは電子保存が義務化されました。今後は電子契約に対応せざるを得ません」と説明します。義務化という事実は、導入の後押しになります。
電子契約サービスの対応状況
「利用しようとしている電子契約サービスは、電子帳簿保存法の要件(タイムスタンプ、検索機能など)を満たしています」と具体的に説明しましょう。サービスの対応状況を事前に確認しておくことが大切です。
保存期間の自動管理
「電子契約サービスにデータが自動保存されるので、7年間の保存義務も問題なくクリアできます」と伝えます。
説明のポイント3:メリットを具体的に
印紙税の節約
「電子契約には印紙税がかかりません。年間○万円の節税になります」と、具体的な金額を示すと効果的です。税理士・会計士はコスト意識が高いので、響きやすいポイントです。
契約書の検索・管理
「契約書をキーワードで検索できるので、税務調査時にすぐに必要な書類を見つけられます」と説明します。紙の契約書を探す手間がなくなることは、税務調査対応の観点でもメリットです。
改ざん防止
「電子署名とタイムスタンプにより、『いつ・誰が署名したか』が明確に記録され、改ざんできません。むしろ紙より信頼性が高いです」と伝えましょう。
説明のポイント4:実物を見せる
サンプルの契約書を見せる
言葉で説明するより、実際の電子契約書を見せる方が理解が早いです。「こういうPDFが生成されます」「署名履歴がここに記録されています」と、画面を見せながら説明しましょう。
操作のデモを行う
「こうやって送信して、相手がこうやって署名して、こうやって保存される」という流れをデモで見せると、具体的なイメージが湧きます。
税務調査時の対応をシミュレーション
「税務署から『○○の契約書を見せてください』と言われたら、こうやって検索して、すぐに表示できます」と、税務調査対応の場面を想定して見せると効果的です。
よくある質問への回答
「紙でもらった方がいいのでは?」
「電子帳簿保存法の改正により、電子で受け取った契約書は電子のまま保存する義務があります。紙に印刷して保存することはできなくなりました。」
「税務署が認めてくれるか心配」
「国税庁のガイドラインに沿った電子契約サービスを使っていれば、問題ありません。すでに多くの企業で税務調査をクリアしています。」
「データが消えたらどうするの?」
「電子契約サービスは複数のサーバーにバックアップを取っています。また、PDFをダウンロードしてローカルにも保存できます。むしろ紙が火災や水害で失われるリスクより安全です。」
「相手が電子契約に対応できない場合は?」
「電子契約に対応できる取引先から順次導入し、対応が難しい取引先は従来通り紙で対応します。すべてを一度に電子化する必要はありません。」
税理士・会計士と一緒に導入を進める
サービス選定に参加してもらう
電子契約サービスの選定段階から税理士・会計士に参加してもらうと、安心感を持ってもらえます。「先生の観点からも問題ないか確認してください」とお願いしましょう。
運用ルールを一緒に決める
契約書の分類方法、バックアップの頻度、保存期間の管理など、運用ルールを一緒に決めると、税務上の漏れを防げます。
最初の税務調査に備える
電子契約導入後、最初の税務調査に備えて、契約書の提示方法を事前に確認しておきましょう。税理士・会計士と一緒にシミュレーションしておくと安心です。
まとめ
税理士・会計士に電子契約を理解してもらうには、法的根拠、電子帳簿保存法への対応、具体的なメリットを丁寧に説明することが大切です。実際のサービス画面を見せたり、デモを行ったりすると、より理解が深まります。
税理士・会計士は、クライアントのためを思って慎重になっています。その懸念に一つひとつ答えることで、電子契約への理解と協力を得られるでしょう。一緒に導入を進めることで、より安心して電子契約を活用できます。
