契約書のひな形がない会社のためのテンプレート作成入門
「うちの会社には契約書のひな形がない」「毎回、取引先の契約書にサインするだけ」——中小企業や個人事業主の中には、自社の契約書テンプレートを持っていない方が多くいます。
本記事では、自社の契約書テンプレートを作るメリットと、作成のためのステップを解説します。
自社テンプレートがないことのデメリット
相手の契約書が有利になりがち
取引先が用意した契約書は、当然ながら取引先に有利な内容になっていることが多いです。自社のテンプレートがないと、相手の契約書にサインするしかなく、不利な条件を受け入れることになりがちです。
交渉の主導権を握れない
契約書を用意する側が、交渉の主導権を握りやすくなります。自社テンプレートがあれば、「うちの契約書をベースにしませんか」と提案でき、交渉を有利に進められます。
毎回ゼロから検討が必要
取引先が変わるたびに異なる契約書を読み込む必要があり、時間がかかります。自社テンプレートがあれば、「いつもの契約書」として効率的に対応できます。
契約管理がバラバラになる
取引先ごとに違う形式の契約書だと、管理が煩雑になります。自社テンプレートで統一すれば、契約内容の確認や更新も楽になります。
テンプレート作成のメリット
自社に有利な条件を盛り込める
自分で作成するテンプレートなら、自社にとって重要な条項を盛り込めます。支払条件、責任範囲、解約条件など、自社を守る内容を入れられます。
契約締結のスピードアップ
テンプレートがあれば、新規取引のたびにゼロから契約書を作る必要がありません。必要事項を埋めるだけで、すぐに契約書を用意できます。
品質の統一
テンプレートを使うことで、契約書の品質が統一されます。毎回同じ形式・同じ条項を使うため、漏れやミスが減ります。
電子契約との相性が良い
電子契約サービスにテンプレートを登録しておけば、契約締結がさらに効率化されます。
テンプレート作成のステップ
ステップ1:既存の契約書を集める
これまでに締結した契約書を集めましょう。取引先から受け取った契約書、過去に使った契約書など、手元にあるものをすべて確認します。
ステップ2:よく使う契約の種類を特定
自社でよく使う契約の種類を特定します。例えば:
- 業務委託契約書
- 秘密保持契約書(NDA)
- 売買契約書
- 取引基本契約書
- サービス利用契約書
使用頻度の高いものから優先的にテンプレートを作成しましょう。
ステップ3:必須項目をリストアップ
その契約に必要な項目をリストアップします。
基本項目:
- 契約当事者(会社名、住所、代表者名)
- 契約の目的・内容
- 報酬・代金
- 支払条件
- 納期・契約期間
- 契約日
一般条項(ほとんどの契約に入れる):
- 秘密保持
- 知的財産権の帰属
- 損害賠償
- 契約解除
- 反社会的勢力の排除
- 管轄裁判所
ステップ4:ひな形を参考にドラフト作成
インターネットで公開されているひな形を参考に、自社用のドラフトを作成します。業界団体や行政機関が公開しているひな形は、信頼性が高いです。
参考になるひな形の入手先:
- 経済産業省のモデル契約書
- 中小企業庁の契約書ひな形
- 業界団体のガイドライン
- 電子契約サービスのテンプレート集
ステップ5:自社の状況に合わせてカスタマイズ
ひな形をそのまま使うのではなく、自社の状況に合わせてカスタマイズします。
カスタマイズのポイント:
- 業種特有の条項を追加
- 過去のトラブル経験を反映
- 自社が守りたい権利を明確化
- 不要な条項を削除してシンプルに
ステップ6:専門家にレビューしてもらう(推奨)
可能であれば、弁護士や行政書士にテンプレートをレビューしてもらいましょう。法的に問題がないか、抜け漏れがないか、専門家の目でチェックしてもらうと安心です。
費用を抑えたい場合は、最も使用頻度の高いテンプレート1〜2種類だけでもレビューを依頼すると良いでしょう。
ステップ7:電子契約サービスに登録
完成したテンプレートを電子契約サービスに登録します。入力が必要な項目(金額、日付、取引先名など)を変数として設定しておくと、利用時に効率的です。
テンプレート作成のコツ
シンプルさを保つ
あれもこれもと条項を詰め込みすぎると、読みにくく、相手に抵抗感を与えます。必要最小限の条項に絞り、シンプルに保ちましょう。
読みやすさを意識
法律用語ばかりの契約書は、読む気をなくします。できるだけ平易な言葉で書き、見出しを付けて読みやすくしましょう。
定期的に見直す
一度作ったテンプレートも、定期的に見直しましょう。法改正への対応、過去のトラブル経験の反映、業務内容の変化など、更新が必要な場合があります。
バージョン管理をする
テンプレートを更新したら、バージョン番号を付けて管理しましょう。「業務委託契約書_v1.0」「業務委託契約書_v1.1」のように管理すると、混乱を防げます。
まとめ
自社の契約書テンプレートを持つことは、取引の主導権を握り、業務を効率化するために重要です。ひな形を参考にしながら、自社の状況に合わせたテンプレートを作成しましょう。
完璧を目指す必要はありません。まずは使用頻度の高い契約から1種類作ってみて、実際に使いながら改善していけば良いのです。電子契約サービスと組み合わせることで、契約業務が格段に効率化されます。
