ESG経営とペーパーレス化
ESG(Environment・Social・Governance)への取り組みは、企業の持続可能性を評価する重要な指標となっています。投資家や取引先からも、ESGへの取り組みが問われる時代です。
本記事では、電子契約によるペーパーレス化がESG経営にどう貢献するかを解説します。
ESG経営とは
ESGの3要素
E:Environment(環境)
環境への取り組みには、CO2排出削減、再生可能エネルギーの活用、廃棄物削減、資源の効率的利用などが含まれます。
S:Social(社会)
社会への取り組みには、働き方改革、ダイバーシティ、人権尊重、地域社会への貢献などが含まれます。
G:Governance(企業統治)
企業統治への取り組みには、コンプライアンス、情報開示、リスク管理、取締役会の監督機能などが含まれます。
ESG経営が求められる背景
投資家のESG投資の拡大、サプライチェーン全体でのESG対応要求、消費者のサステナビリティ意識の高まり、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献など、様々な背景からESG経営が求められています。
電子契約のESG貢献
E:環境への貢献
1. 紙の削減
電子契約により、契約書に使用する紙を削減できます。
試算例
契約書1件あたり平均10枚 × 2部(双方保管)= 20枚です。年間500件の契約で10,000枚/年の削減になります。A4用紙1枚あたりのCO2排出量は約3gなので、年間30kg(10,000枚 × 3g)のCO2削減が実現します。紙の製造だけでなく、原料となる森林資源の保護にも貢献します。
2. 郵送に伴うCO2削減
契約書の郵送が不要になることで、輸送に伴うCO2排出を削減できます。郵便物の収集・仕分け・配達にかかる輸送や、トラック・バイク等の燃料消費が不要になります。
3. 保管に伴う環境負荷削減
紙の契約書の保管にも環境負荷がかかります。保管場所の冷暖房(空調)やキャビネット等の什器製造による環境負荷を削減できます。
S:社会への貢献
1. 働き方改革
電子契約により、柔軟な働き方が可能になります。押印のための出社が不要になり、リモートワークでも契約業務が完結します。ワークライフバランスの向上にもつながります。
2. 業務効率化による労働時間削減
契約業務の効率化により、従業員の労働時間を削減できます。印刷、郵送、ファイリング作業の削減、検索時間の短縮、承認待ち時間の削減が実現します。
3. アクセシビリティの向上
電子契約は、場所を問わずアクセスできます。障がいのある方でも利用しやすく、地方や海外からでも契約締結が可能です。
G:ガバナンスへの貢献
1. 契約管理の強化
電子契約サービスにより、契約管理体制を強化できます。契約書の一元管理、決裁権限に基づく承認フロー、監査ログによる追跡可能性が実現します。
2. コンプライアンスの強化
契約締結プロセスが標準化・可視化されることで、コンプライアンスが強化されます。テンプレートによる契約内容の標準化、法務レビューの徹底、不正な契約の防止が可能になります。
3. リスク管理
契約に関するリスクを管理しやすくなります。契約期限の管理、契約条件の可視化、契約リスクの分析が可能です。
環境負荷削減の数値化
試算に必要な情報
環境負荷削減を数値化するには、年間の契約締結件数、契約書1件あたりの平均ページ数、郵送の方法(普通郵便、書留等)の情報が必要です。
削減効果の試算例
前提条件
年間契約締結件数は500件、契約書1件あたりは10ページ × 2部 = 20枚とします。
紙削減量
20枚 × 500件 = 10,000枚/年です。A4用紙500枚 = 1箱(約2kg)なので、10,000枚 = 20箱 = 約40kg/年の紙削減になります。
CO2削減量(紙)
紙1kgあたりのCO2排出量は約1.5kgです。40kg × 1.5 = 60kg/年のCO2削減になります。
CO2削減量(郵送)
郵便物1通あたりのCO2排出量は約20gです。500件 × 2(往復)× 20g = 20kg/年のCO2削減になります。
合計CO2削減量
紙 + 郵送 = 60kg + 20kg = 80kg/年のCO2削減が実現します。これは一企業の試算例であり、実際の数値は企業規模や契約件数により異なります。
ESG情報の開示
開示項目への活用
電子契約による環境負荷削減は、ESG情報開示に活用できます。
環境報告書・サステナビリティレポート
紙使用量の削減、CO2排出量の削減、ペーパーレス化の取り組みを報告できます。
CDP(Carbon Disclosure Project)
Scope 3(サプライチェーン)排出量の削減として報告できます。
統合報告書
非財務情報としてESGの取り組みを記載できます。
開示時のポイント
削減量を具体的な数値で示し、前年比での改善を示すことが重要です。今後の目標を設定することも効果的です。
サプライチェーンへの波及
取引先への展開
自社で電子契約を導入することで、取引先にも電子契約の利用を促すことができます。取引先のペーパーレス化を促進し、サプライチェーン全体でのESG向上につながります。
サプライチェーン排出量(Scope 3)
サプライチェーン排出量の削減は、多くの企業で重要なテーマです。契約書の電子化は、Scope 3削減の一環として位置づけられます。
SDGsへの貢献
関連するSDGs目標
目標8:働きがいも経済成長も
業務効率化による生産性向上、働き方改革の推進に貢献します。
目標12:つくる責任つかう責任
資源(紙)の効率的利用、廃棄物の削減に貢献します。
目標13:気候変動に具体的な対策を
CO2排出量の削減に貢献します。
目標15:陸の豊かさも守ろう
森林資源(紙の原料)の保護に貢献します。
導入時の社内説明
ESGの観点での説明
電子契約の導入を社内で提案する際、ESGの観点も加えることで、説得力が増します。
説明のポイント
環境負荷削減の具体的な数値、働き方改革への貢献、ガバナンス強化への効果、ESG情報開示への活用を説明しましょう。
経営層への訴求
経営層には、ESG経営の文脈で電子契約の意義を説明すると効果的です。投資家からのESG評価向上、取引先からの信頼獲得、企業ブランドの向上といった観点から訴求できます。
まとめ:電子契約でESGに貢献
電子契約によるペーパーレス化は、ESGのすべての側面に貢献します。
E(環境)では紙・郵送によるCO2削減、S(社会)では働き方改革・業務効率化、G(ガバナンス)では契約管理強化・コンプライアンスへの貢献が期待できます。
電子契約は、業務効率化やコスト削減だけでなく、ESG経営の観点からも意義のある取り組みです。導入効果を数値化し、ESG情報開示にも活用しましょう。

