電子契約の「控え」はどうなる?—相手方・自社の保管方法
「電子契約で締結したら、控えはどうなるの?」「紙みたいに手元に残らないと不安」——電子契約を初めて使う方から、こうした質問をよく受けます。
本記事では、電子契約の「控え」の仕組みと、適切な保管方法について解説します。
電子契約の控えとは
PDFファイルが「原本」であり「控え」
電子契約では、署名済みのPDFファイルが契約書の「原本」です。このPDFは複製しても内容が変わらないため、コピーもすべて「原本と同等」の扱いになります。紙のように「原本」と「控え(コピー)」を区別する必要がありません。
双方に同じPDFが届く
電子契約が完了すると、契約当事者全員に同じPDFファイルがメールで届きます。このPDFには、誰がいつ署名したかの記録(署名履歴)が含まれています。双方が同じ内容の契約書を持つことになります。
電子契約サービスでの保管
クラウドに自動保存
電子契約サービスを利用すると、締結した契約書はクラウド上に自動的に保存されます。サービスにログインすれば、いつでも過去の契約書を確認・ダウンロードできます。
検索機能で探せる
取引先名、契約日、契約の種類などで検索できるため、必要な契約書をすぐに見つけられます。紙の契約書を棚から探すより、はるかに効率的です。
保存期間
多くの電子契約サービスでは、契約期間中および一定期間(10年など)、契約書が保存されます。電子帳簿保存法で求められる7年間の保存要件も満たせます。
署名者(相手方)の保管
相手方にもPDFが届く
契約完了時に、相手方にも署名済みPDFがメールで届きます。相手方は自分で保管する必要があります。
ダウンロードを促す
「契約書のPDFがメールで届きますので、ダウンロードして保管してください」と伝えておくと親切です。メールを見落とした場合に備えて、後から再送できることも説明しておきましょう。
相手方がアカウントを持たない場合
電子契約サービスによっては、署名者(相手方)がアカウントを持っていなくても、メールで届いたPDFをダウンロードできます。アカウント不要で署名・保管できるサービスを選ぶと、相手方の負担が軽くなります。
自社での保管方法
電子契約サービスをメインの保管場所に
電子契約サービスにログインすれば、いつでも契約書を確認できるため、サービス自体をメインの保管場所として活用できます。
ローカルへのバックアップ
万が一に備えて、PDFをダウンロードしてローカル(パソコンや社内サーバー)にも保存しておくと安心です。月に1回など、定期的にバックアップを取ることをお勧めします。
クラウドストレージへの保存
Google Drive、Dropbox、OneDriveなどのクラウドストレージにもPDFを保存しておくと、二重のバックアップになります。フォルダを整理して、取引先別や年度別に管理しましょう。
紙の控えが必要な場合
印刷しても有効
電子契約のPDFを印刷しても、契約の有効性は変わりません。「手元に紙がないと落ち着かない」という方は、印刷して保管することもできます。
取引先から紙を求められた場合
「紙の控えをください」と言われた場合は、PDFを印刷して渡すことができます。ただし、印刷した紙は「原本のコピー」という位置づけになります。原本は電子データです。
電子帳簿保存法との関係
2024年1月以降、電子で締結した契約書は電子データのまま保存する義務があります。紙に印刷して保存しても、電子データの保存は必須です。紙の保管は「追加」であって「代替」ではありません。
保管に関するよくある質問
「メールを削除してしまったら?」
契約完了時のメールを削除しても、電子契約サービスにログインすれば、いつでも契約書をダウンロードできます。メールの保存に頼る必要はありません。
「サービスを解約したらどうなる?」
電子契約サービスを解約する場合は、事前にすべての契約書PDFをダウンロードしておきましょう。解約後もデータを一定期間保持してくれるサービスもありますが、自分でバックアップを取っておくのが確実です。
「何年保存すればいい?」
法人税法上は7年間(欠損金がある場合は10年間)の保存が必要です。電子契約サービスに保存されていれば、この期間は自動的にクリアできます。念のため、ローカルにもバックアップを取っておきましょう。
「セキュリティは大丈夫?」
電子契約サービスは、銀行並みのセキュリティ対策を施しているものが多いです。データの暗号化、アクセス制御、バックアップなど、紙の契約書より安全に保管できます。
保管のベストプラクティス
1. 電子契約サービスに保管(メイン)
締結した契約書は、電子契約サービスに自動保存されます。これがメインの保管場所です。
2. クラウドストレージにバックアップ
定期的にPDFをダウンロードし、Google Driveなどのクラウドストレージにも保存しておきます。
3. 重要な契約はローカルにも保存
特に重要な契約書は、パソコンや社内サーバーにも保存しておくと、万が一のときも安心です。
4. フォルダを整理
取引先別、年度別、契約種類別などでフォルダを整理しておくと、後から探しやすくなります。
まとめ
電子契約の「控え」は、PDFファイルという形で双方に届きます。電子契約サービスにログインすればいつでも確認・ダウンロードでき、紙の契約書より安全かつ効率的に保管できます。
万が一に備えて、クラウドストレージやローカルにもバックアップを取っておくと安心です。「紙がないと不安」という感覚は最初だけで、使い慣れると電子の方が便利だと感じる方がほとんどです。
